賃上げ税制
岸田内閣の税制調査会で
賃上げ税制
の検討が始まりました。
企業の利益が、設備投資や内部留保に回り、労働者一人一人の給与に反映されない現状を改善しようというものです。
社員の給与を上げた企業には、税制面で優遇措置を取ります。
また、優遇措置をとるので、社員の給与を上げて下さいと言うのです。
嬉しい措置のように思いますが、現実はそんなに甘くはありません。
最も賃上げが必要な中小企業の6割が赤字経営です。そもそも法人税を払う事が出来ません。
しかし、この考え方は岸田総理の経済政策を端的に表したものと言えます。
岸田総理の経済政策の
キャッチフレーズは、
(成長と分配の好循環を目指す)
と言うものです。特に、
(分配)
がキーワードです。
富を一部の者が独占するのではなく、労働者一人一人に平等に配ろう。
という考え方がベースにあります。弱者に優しい視点です。
この政策の対局にあったのが、小泉純一郎が総理大臣の時代です。2001年からの5年間。
小泉は、経済は全く分かりませんから、竹中平蔵に丸投げします。竹中はハーバード大学で学んだ
(新自由主義)
の理論をそのまま日本に持ち込んだのです。
アメリカの経済理論を、そのまま日本に当てはめて、上手くいくのでしょうか?
野球の審判がサッカーの試合を裁くようなものです。
聖域なき構造改革
をキャッチフレーズに、今まで、労働者や中小企業を守ってきた法律や制度を、次々と壊して行きました。
規制があるから成長できない。その規制を取っ払って、外国とノーガードで戦え。負けた企業は、淘汰されても仕方がない。
ホントに強い企業が生き残る。
そこで初めて、日本は世界と戦える強い国になる。
という理屈。
その結果が以下の通りです。
失われた20年
1900年~2010年
経済成長が失われた、デフレの時代
格差の拡大
国に守られて、更に豊かになる人
国に捨てられて、どこまでも貧しくなる人
派遣切り
年収200万円の派遣の仕事も奪われ、派遣村で暮らす人
あまりに片寄った見方かも知れませんが、あながち間違っているとは言えません。
安倍晋三総理大臣も、成長に力点を置いた政策を進めます。アベノミクスです。
しかし。労働者一人一人が豊かさを感じることは出来ませんでした。
そこで登場したのが
(公平な分配)
を目指す岸田 文雄 内閣総理大臣なのです。
簡単でないことは分かっています。
既得権益を持った人は、自分の利益を守ろうとするでしょう。
成長の果実を味わった人は、決して手放そうとはしません。
しかし、マクロな視点で、大企業から一人一人の労働者にフォーカスした経済政策は、新しい変化をもたらすかも知れません。
そして、岸田総理には、大きなアドバンテージがあります。
池田勇人こそが、
(富の公平な分配)
を実現し、高度経済成長を軌道に乗せた総理大臣だったのです。
第一回東京オリンピックが行われた1960年台。
(10年で所得を倍増する。)
と宣言して、実際には7年で国民所得を倍に引き上げたのです。
その池田はこんな国家像を思い描きました。
完全雇用が達成される
福祉国家を実現する
格差のない社会を実現する
そして、その手段としては、
減税の実施
社会保障制度の整備
公共投資の充実
です。
こうして、日本経済は
一気に高度経済成長時代
に突入するのです。
緻密な計画がありました。
時代の空気を読む、鋭い感覚がありました。
優れたブレーンに支えられていました。
そして、何より
国民が池田勇人を信じて、死に物狂いで働いたのです。
こんな時代を作ったのが
(宏池会)
その宰相たる
岸田総理の経済政策に、期待しても良いのではないでしょうか?