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オンライン家庭教師です。

プーチンの言い分

ロシア軍がウクライナに侵攻を試みています。

迎え撃つウクライナ軍も臨戦態勢を整えました。

一触即発の危機と言えます。

この事態に、欧米各国の首脳が、調停に乗り出しましたが、無力をさらけ出すのみです。

もし、メルケルがいたら、と考えざるを得ません。

欧州政界で、プーチンメルケルは、良い関係を築いていました。

二人は、フランクに話が出来ました。

メルケル東ドイツ出身なのも、一因かもしれません。

プーチンKGB時代、東ドイツのスタージでした。

同じ空気を吸っていました。

しかし、もうメルケルはいません。

バイデンもマクロンも、杓子定規な話しか出来ません。

メルケルの後釜、シュルツでは、まだまだ役不足です。

相手の気持ちや立場を尊重して、落とし所を見つけるのが、外交交渉の極意です。

今、プーチンの思いを斟酌できるのは、メルケルだけでしょう。

では、プーチンには

どんな正義(言い分)があるのでしょうか?

近代ヨーロッパの歴史の中で、ロシアは2度の悪夢を経験しています。

ナポレオンのロシア遠征

ヒトラーのバルバロッサ作戦、ソ連侵攻です。

フランス皇帝になったナポレオンは、フランス革命の精神

自由

平等

博愛

を、全ヨーロッパに輸出しようとします。

ナポレオンは強大な軍事力で、あっという間に、西ヨーロッパを支配します。

次に、ナポレオンは、イギリスを孤立させようと、大陸封鎖令を出します。

これに対し、ロシア皇帝アレキサンドル一世は、大陸封鎖令を無視して、イギリスとの通商を再開します。

これに怒ったナポレオンは、モスクワに向けて、侵攻を始めます。

快進撃を続けるナポレオンに対し、モスクワは、風前の灯火です。

そこで、ロシアのクズーロフ将軍は、乾坤一擲の策を講じます。

ナポレオンがモスクワに侵攻する前に、街を焼き払います。

もちろん食料も残しません。

住民も避難して、モスクワの街はもぬけの殻です。

モスクワに侵攻したフランス兵は驚きました。

暖を取る家も、食料もありません。

さらに、気づいた時には、冬将軍が到来していました。

夏装備のフランス兵に、冬のロシアの寒さは、過酷すぎます。

慌てて逃げ帰るフランス兵に、クズーロフ将軍は追い討ちをかけました。

こうして、ロシア軍は辛うじて、ナポレオンを撃退したのです。

しかし、自分の街を自分の手で焼き払う悔しさは、ロシア人に強く残りました。

ロシア人の心に、フランス人への怨みが刻み込まれました。

ロシアは、同じ思いをもう一度することになります。

ヒトラーのバルバロッサ作戦、ソ連侵攻です。

ヒトラーは、ナポレオンと同じように、電撃作戦で全西ヨーロッパを支配します。

そして、満を持して共産主義ソ連に、50万のドイツ兵を送り込みます。

迎え撃つソ連は、激しい戦闘で200万人を越える犠牲を出ます。

それでも、ロシア軍は堪え忍び、ドイツ軍を撃退しました。

レニングラート攻防戦や

スターリングの戦いは、まさに悲惨を極めました。

前線から逃亡するロシア兵には、スターリンの命令で、味方の銃弾が飛んできます。

数知れない餓死者もでました。

ナポレオンの時と同じように、冬の訪れがヒトラー軍を押し返しました。

この戦いでの、ロシア人のドイツへの憎しみは、深く深く刻まれました。

この二つの消しがたいトラウマは、今のロシア人にも、脈々と受け継がれています。

ウクライナNATO加盟は、ロシア人にナポレオンとヒトラーの悪夢を甦えさせます。

これは、プーチン一人の思いではありません。ロシア人共通の悪夢なのです。

冷戦の終結時、ソ連は、ワルシャワ条約機構を解体しました。

しかし、アメリカは、

NATOを解体しないばかりか、東に拡大しています。

ロシアは、この事が許せません。約束違反だと信じています。

そして、ロシアにとって、最後の砦がウクライナです。

ウクライナがギリギリのレッドラインなのです。

ここを譲ると、ロシアは

裸の王様

になってしまいます。

今、ウクライナとロシアの国境で、10万を越える兵士が、直接向かい合って対峙しています。

どんなアクシデントでで、銃撃戦が始まるか、分かりません。

しかし、戦うことで、得する国はありません。

一方的にロシアを非難しても、良い知恵は生まれません。

過去の悪夢に苦しむロシア人の思いに、共感、同情できるところは、少なからずあるはずです。

こんな提案はどうでしょうか。

ロシア軍の撤兵の条件として、

10年間は、ウクライナNATO加盟を見送る。

クリミア戦争の時の、

経済制裁を緩和する。

知恵とは、妥協のことではないでしょうか?

Win Win ではなくても、

All Cancel

よりは、ずっとましに思えます。