白鵬VSメルケル
二人の大物が現役を引退する。大相撲の横綱白鵬と、ドイツ連邦共和国のメルケル首相である。二人の最大の共通点は、それぞれの世界に於いて、約15年の長きにわたってトップの座を守り続けたことである。一口に、15年と言うが、生まれた赤ちゃんが中学校を卒業する。蒙古斑の赤ちゃんがニキビ全開の青年に。感慨無量である。
ドイツと言う国で10年を越える長期政権を築いた首相が五人いる。お分かりだろうか?
一位はなんとあのビスマルクである。普墺戦争、普仏戦争に勝利し、24年の長きにわたってドイツをヨーロッパの最強国に造り上げた。勢力均衡を図る巧な外交は、ビスマルク体制と言う。
二位は、東西ドイツの統一に尽力した、コール首相である。統一には混乱が心配されたが、コール首相の巧な政治力は、スムーズにドイツ連邦共和国をつくりあげた。約16年の任期を勤めあげた。
彼に続く第3位が、コールの娘と言われた今日の主役、メルケル首相である。任期は、ほぼコールに近い十六年。私はメルケル首相に、二つの特徴をかんじる。女性である点と東ドイツ出身である点である。1990年に統一されたドイツで、たった15年後の2005年に東ドイツ出身の女性が統一ドイツの首相になる。コール首相に引き立てられた事は確かだろうが、その経緯も、知りたいものである。
第4位は、大戦後のドイツの基礎を作ったアデナウアー。70代で首相になり、14年の任期を努めた。
第5位はお分かりだろうか?これが分かると、本物歴史通かもしれない。
なんと。
なんと?
第5位はあの、
ヒトラーなのである。
1933年の選挙で第一党になって組閣し、1945年に自殺するまで、ドイツの首相だったのだ。ドイツとは、摩訶不思議な国なのである。
幕内優勝45回
横綱在位84場所
通算1187勝
前代未聞、空前絶後。
どんな言葉が当てはまるのか?まさに、不世出の大横綱。そんな横綱が引退する。
白鵬の引退は、怪我が原因ではないと言う噂がある。白鵬父親は1964年の前回の東京オリンピックのレスリングで銀メダルを獲得している。父親に憧れる白鵬は、今回の東京オリンピックの開会式で、土俵入りを披露したいと言う夢を持っていた。それがコロナによる無観客開催で出来なくなり、心が折れたと言うのだ。事実は白鵬本人にしか分かるまい。
引退後の夢は、銀座に自分の相撲部屋を持つことだと言う。なんと大きな夢だろう。実現したら、銀座の新しい名所になることは間違いない。