個人の自由と公共の利益
これは人類の永遠の課題だと言えよう。自由が拡大すれば、公共の利益は失われることになる。グラスの牛乳を少しずつ飲むと、だんだん減っていって、空っぽになってしまうのに似ているかもしれない。
今、アメリカで個人の自由を重視して、ワクチンの接種を拒む保守層が増えている。その結果、6月に一万人台だった新規感染者が、十万人を越える勢いだと言う。バイデン大統領は
ワクチン接種は自由の問題でも、個人の選択の問題でもない。自らと周囲の人を守る行為だ。
として、政府機関や一部の企業に接種を義務づける新方針を表明した。
日本では減少気味の新規感染者だが、冬にかけて、新しい感染の波(第6波)は不可避だと予測する専門家が多い。ワクチン接種のおかげで、第5波では第4波と比べて、感染者は3倍弱に達したのに対し、死者は6割減だと言う。ワクチンの効果は明らかだ。
集団免疫を達成するには、7割の壁があると言われている。2回接種者が7割の壁を越え、8割に達すると集団免疫が達成される。この状態になると、誰かが感染しても、8割以上の人が免疫を持っているので、感染が拡がりにくくなる。こうして、接種していない人も感染からまもられ、社会全体がコロナウイルスから守られることになるのだ。
建国の経緯からして、個人の自由を最優先してきたアメリカ。身を守る為の銃の保持さえ容認されている。この国で自由を制限するのは至難の技だ。
和をもって貴しとなす。とあり、明治維新に出された五ヶ条の御誓文には、
万機公論に決すべし。
とある。
まさに、日本人の知恵だろう。個人の自由と公共の利益のバランスを上手くとるすべを知っている。ワクチンの取得さえスムーズに進めば、年内に7割の壁を越え、集団免疫を達成するのは、日本だと祈りたい。