トライアングル
日本を代表する男。
そんなところだろうか?
男の中の男。
しかし、私の頭に浮かぶ日本の男のイメージは少し違う。
笠 智衆
が浮かぶのである。
端正で無口。
何気ないユーモア。
また、頼りなげなところが魅力である。
御前様の(バター)のギャグを知ってる人は、笠智衆通である。
孤独の影も漂う。
私にとって、笠 智衆に通じる二人の巨星がいる。
映画監督の
小津 安二郎と
小説家の
志賀 直哉
外見も含めて、その立ち位置、存在感が良く似ている。
3人のトライアングル。
あの志賀直哉は、小津映画の大ファンだ。
1952年
お茶漬けの味
1956年
早春
1958年
1960年
それぞれの批評会で、彼らしい鋭いコメントをしている。
志賀の研ぎ澄まされた文体と、小津の感性が解け合ったら、どんな世界が生まれるだろう。
勿論、二人が主人公にキャスティングするのが、笠智衆なのです。
作品は、暗夜行路しかない。
原作 志賀 直哉
監督 小津 安二郎
主演 笠 智衆
しかし、この映画は完成することはなかった。
見たい気もするが、見なくて良かったような気もしてくる。
最高のものと最高のもがぶつかって、最高のもが
生まれるとは、限らない。
何より、笠 智衆の時任謙作に気持ちがざわついてしまう。
笠智衆のはまり役は、兄の信行かも知れない。
そうなると、トライアングルは変形してしまう。
やはり、幻の名画として、夢見てるのが良いのかも知れない。